ボリウッドの大ヒット映画「PK」の素晴らしさを長文で語る

私は、ボリウッド(インド映画)にハマってしまい、最新作が公開されるたびに劇場に足を運びます。
その中でも、特に最近面白く感動した「PK」という映画を紹介します。
ストーリーを簡単に説明します。異星から地球の調査にきた宇宙人がインドに着陸し単身で調査を始めようとしますが、
UFOの発信機をひったくられ、帰れない彼はインド中を探し回ることになります。
いつしか彼は神頼みすることを人々から教わり、すべての神に祈ろうとするも、人々からは言動がおかしいと、「PK(よっぱらい)」呼ばわりされてしまいます。
それを面白がった女性テレビ記者との恋と人間ドラマが交錯した、ヒューマンドラマです。

PKは地球の文化や文明を知らず、純粋無垢な子供のような感性で、大人のような頭脳を持ち、
様々な社会問題へストレートな疑問を投げかけます。
インド国内ではタブーとされている宗教問題に切り込み、コメディチックながらもPKの一つ一つのセリフは重く、一つも聞き逃せません。
ボリウッドはストーリーの合間に歌や踊りが入りますが、この映画に関してはまったく自然に入ってきます。
監督の前作品で大ヒット作である「きっとうまくいく」では、インドの若者の現状や社会問題、学生のリアルな悩みを極上のエンターテインメントとヒューマンドラマで感動と笑いを共存させた独特のスタイルでしたが、今作「PK」でもそのスタイルは踏襲されつつも、もっと深い問題に切り込み、コメディ要素はありつつもシリアスな面が大きくなっています。
今、世界の映画を見渡しても、ここまで社会問題、特にタブーとされる宗教問題を提示しつつも、それをドキュメンタリーではなくあくまでエンターテインメントの興業映画として一流の雰囲気で成立させているのは、この監督の作品だけでしょう。これぞ、文化・芸術の持つ力だということを実感させられます。

宇宙人役を演じた、主演のアーミル・カーンは監督の前作「きっと、うまくいく」も主演しており、今作でも心の中が見通せない宇宙人でありつつ、誰よりも人間らしいピュアさを持っているという難しい役どころを、なんなくこなし、風格があります。往年のロビン・ウィリアムズの彷彿とさせる、笑いの中に悲しみと切なさが入り混じる、そんな心を震わせる演技ができるのは世界でも今はアーミル・カーン以外にいないでしょう。
ジョンレノンがイマジンを歌ったように、現代に「PK」という映画が広く世界に届くために存在している、そう言い切れるほど素晴らしい映画です。